西洋医学と東洋医学の特徴と違い

現在、日本の病院では西洋医学による医療が施され、代替医療として鍼灸や漢方といった東洋医学が用いられています。
では、この2つの医学にはそれぞれどのような特徴や違いがあるのでしょうか?

東洋医学の特徴

「人間のからだに備わっている自己治癒力を活性化させ、こころとからだを回復する」というのが東洋医学の基本的な考え方であり特徴です。

東洋医学は、今から二千年以上前に中国大陸で生まれ、6世紀前半の飛鳥時代の頃、日本に伝わってきました。
古来より、「人間は本来健康体で、たとえ病気になったとしても、自分で治せる力がある」と考えられてきました。
これを自己治癒力(自然治癒力)と呼びます。

たとえば、風邪をひいたときは、温かくして安静にしていればいつの間にかなおってしまいます。ケガで骨折しても、患部を固定していれば骨は自然にくっつきます。気持ちが落ち込んだときも、気分転換したり、親しい人に話を聞いてもらったりしているうちに、立ち直ることができます。
これらは、誰もが持っている力です。もう少し、具体的にみてみましょう。

人のからだには、免疫という機能があります。みなさんも聞いたことがあると思います。これは、ウイルスや細菌が体内に入ってこないように守ったり、たとえ侵入されたとしても退治したりする機能です。たとえ風邪をひいても、免疫機能がはたらいて、侵入してきた風邪ウイルスを撃退すればなおってしまいます。
骨には、骨芽細胞と破骨細胞という2種類の細胞があり、日々、骨を新しく作りかえています。骨折したときも、2つの細胞が協力して修復しています。
脳内には、セロトニンとよばれる幸福感や安心感を伝える神経伝達物質があることがわかっています。気持ちが落ち込んだとしても、セロトニンのはたらきで立ち直ることができるわけです。

このように、病から回復するための様々な機能が、人のからだには備わっています。これらの機能も自己治癒力の1つと考えています。
もちろん、顕微鏡すらなかった時代に、免疫や細胞や神経伝達物質の存在などわかるはずもありません。でも、東洋医学は、数千年にわたる施術の積み重ねの中で、治す力の存在を認識し、治療に生かしてきたのだと思います。
そして現代科学の目覚ましい発展によって、その実体がだんだんと解き明かされています。

病院も薬もない時代から人々が健康に暮らせてこられたのは、ひとえに自己治癒力があったからではないでしょうか。
そして、今もかわらず皆さんのからだに備わっています。

でも時に、自己治癒力が低下してしまうことがあります。
そうすると、病気は長引くことになります。場合によっては、薬を飲んだり病院で治療を受けたりしてもなかなか治らなかったり、いいと言われることをいろいろ試してもよくならなかったりと、とても悩ましい状況になるかもしれません。

東洋医学は数千年の長い歴史の中で、どうして自己治癒力は低下してしまうのか、どうしたら活性化できるのか、試行錯誤を繰り返し解き明かしてきました。そして、鍼灸漢方といった形で、脈々と現代に受け継がれています。
「人間が本来持っている自己治癒力を最大限に高めて、健康をとり戻すこと」、これこそが東洋医学の最大の特徴と言えるのではないでしょうか。

西洋医学の特徴

一方、西洋医学には、「悪いものや悪いところを見つけて、それを薬や手術で取り除く」という特徴があります。
たとえば、体内に侵入してきたウイルスや細菌に対しては、ワクチンや薬で対処します。癌などの病巣は手術で取り除いたり、大けがを負った傷は縫ったりします。

この背景には、西洋医学が人々の命を救う医療として発展してきた歴史があります。元々、欧米で生まれた医学で300~400年の歴史があり、日本では100年以上の歴史があります。新たな感染症や戦争などが起こるたびに治療法が生まれ進歩してきました。

昔は今ほど医学が発達しておらず、結核菌や赤痢菌、コレラ菌などの感染症は脅威とされてきました。特に結核は、死因のかなりの割合を占めていました。
しかし、結核菌の薬が開発されたことで、それまで不治の病と恐れられていた結核は、それほど怖い病気ではなくなりました。
その後も様々な薬が開発され、今日では細菌による感染症で亡くなる人はかなり少なくなりました。
つい最近では、新型コロナウイルスのワクチンが開発されました。

外科手術の分野では消毒や麻酔の技術が確立し、痛みのない安全な手術が行われるようになり、多くの命が助かるようになりました。
近年では、臓器移植の進歩により幼い命が救われたり、不便な生活から解放され健康的な日常を送れるようになったりしています。

また、西洋医学の特徴を話す上で忘れてならないのは、医療機器の進歩です。
病巣やウイルス・細菌などの外敵をみつけるために、レントゲンやCT、MRI、顕微鏡などの高度な医療機器が開発され、病原を素早く特定することで迅速な治療が行えるようになりました。
これらの医療技術を駆使して、日々、脳卒中や急性心筋梗塞などの救急救命や外科手術、生命を脅かす感染症の対策、さまざまな薬の効果など、臨床の現場では西洋医学が得意とする治療が施されています。

このように「病原を特定して、そこを直接治療する」、これが西洋医学の最大の特徴です。

西洋医学と東洋医学の違い

西洋医学と東洋医学の特徴をお話してきましたが、両者の違いをまとめると、「西洋医学は、悪いところを特定し薬や手術で直接治療する」「東洋医学は、その人の自己治癒力を高めてからだの内側から治す」ということです。

西洋医学には、短時間で治療できるという利点もあります。一刻を争う救急救命や命にかかわる難病など、病院では西洋医学が得意とする治療が施され、日々多くの命が助かっています。
一方、東洋医学には、時間はかかるけれどもからだに負担をかけることなく根本から治す、という利点があります。日によって症状がコロコロ変わる不定愁訴で苦しんでいる方や、慢性化した痛みで困っている方、また、つわりや逆子で悩んでいる妊婦さんなどが、鍼灸院をおとずれ自己治癒力によって快方していきます。

東洋医学と西洋医学、どちらが優れているというものではありません。
それぞれに、特徴と得意とするところがあります。
どちらも人々の健康を守るためにある素晴らしい医学です。

<参考文献:東洋医学概論 医歯薬出版株式会社、生理学 医歯薬出版株式会社、解剖学 医歯薬出版株式会社>

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著者プロフィール 磯部律元

2013年「はなもも鍼灸治療院」を開設。東洋医学に精通し鍼灸師として数多くの施術を手掛ける。同時に、生理学、解剖学、病理学などを学び、人体のしくみについて造詣を深める。
妊活、妊婦の施術を得意とし、自律神経の乱れや慢性化した痛みなどにも幅広く対応している。のべ1万人以上の施術実績を持つ。
根本治療的な鍼灸とここちの良い施術を追求しつづけている。