妊娠率を最大化する鍼灸治療の受け方

妊活に鍼灸治療を取り入れるカップルは、ここ数年、増えてきました。その一方で、あまり効果を感じないという方や、鍼灸を受けてみたいけど迷っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、どういう受け方をすると妊娠率は上がるのか、海外で報告された論文と当院の治療実績に基づくエビデンスをもとにお話いたします。妊娠率を最大化する方法が分かると、治療計画も立てやすくなると思います。

定期的に受ける

妊活に鍼灸治療を取り入れた場合の効果については、海外で研究が行われ論文も発表されています。まずは、主な論文の研究結果を紹介いたします。

  • 胚移植日に鍼治療を行った273例を対象。鍼治療を行なわない組では22%の妊娠率、鍼治療を行った組では36%の妊娠率となった。(2006年デンマークの報告)
  • 黄体期に鍼治療を受けた225例を対象。鍼治療を受けなかった組では13.8%、受けた組では28.4%の妊娠率であった。(2006年ドイツの報告)
  • 採卵前、採卵直後に鍼治療を行った228例を対象。鍼治療を行なわない組では23%、行った組では31%の妊娠率だった。(2006年オーストラリアの報告)
  • 体外受精(IVF)を受けた1366人を対象。胚移植後1日以内に鍼治療を受けた組は、受けなかった組と比較して、妊娠率が65%高かった。(米メリーランド大学医学部の報告)

各国の研究結果が示すように、鍼治療を受けた方が受けない方よりも妊娠率は高くなります。採卵日や胚移植日の前後に鍼治療を受けただけでも、これだけの効果があらわれます。もし、治療にお灸をくわえ、さらに、定期的に行ったらどうなるでしょうか。はなもも鍼灸治療院の治療実績では、週に1~2回のペースで2か月以上、鍼とお灸を併用した治療を受けていただいた女性の妊娠率は70%を超えています(2023年2月現在)。これは、定期的に鍼灸治療を受けることによって妊娠力が向上したり、妊娠を妨げている病気が改善されたりするからです。治療実績の中には、顕微授精でも妊娠できなかった方や40歳以上の方など、一般には難治性の不妊とされるケースも含まれます。採卵日や胚移植日の前後にピンポイントで鍼治療を受けるだけでも妊娠率は上がりますが、定期的に鍼とお灸を併用した治療を受けると妊娠率はさらに上がります。

パートナーと2人で受ける

くわえて、パートナーと2人で鍼灸治療を受けると妊娠率を最大化することができます。当院の実績では、夫婦2人で通った場合の妊娠率は8割を超えています(2023年2月現在)。これは、治療によって卵子の質と精子の質の両方が改善されるからと考えられます。

たとえば、機能性不妊(原因不明不妊)の夫婦が2人一緒に鍼灸治療を受けると、女性だけ受けた場合より当然妊娠率は高い結果になります。ただ残念なことに、一般に、夫婦2人で治療を受けるケースは稀で、当院でもこれまでにわずか10数組です。男性は検査で「異常なし」といわれると、自分には何も問題ないと考えがちですが、機能性不妊(原因不明不妊)は、検査でははっきりとした異常は見つけられなかったということであって、何かしらの問題が潜んでいます。WHOでも「赤ちゃんに恵まれないカップルの半分は男性側にも問題がある」と報告しています。でも、鍼灸治療を受けるのは圧倒的に女性です。機能性不妊に限らず、なかなか赤ちゃんを授からないというカップルは、2人一緒に治療を受ければ妊娠率を最大化できます。

まとめ

妊娠率を最大化する鍼灸治療の受け方は、「定期的にパートナーと2人で受ける」ということです。特に、長期間にわたり不妊治療(人工授精、体外受精)を続けているけれども妊娠できないというカップルは、ぜひ、お試しください。夫婦2人で根気よく鍼灸治療を受けていけば、その先に、嬉しい結果が待っています。

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著者プロフィール 磯部律元

2013年「はなもも鍼灸治療院」を開設。東洋医学に精通し鍼灸師として数多くの施術を手掛ける。同時に、生理学、解剖学、病理学などを学び、人体のしくみについて造詣を深める。
妊活、妊婦の施術を得意とし、自律神経の乱れや慢性化した痛みなどにも幅広く対応している。のべ1万人以上の施術実績を持つ。
根本治療的な鍼灸とここちの良い施術を追求しつづけている。