自律神経は全身をめぐっているので、自律神経失調症の改善に役立つツボは様々なところにあります。
お腹にある天枢(てんすう)や中脘(ちゅうかん)、手にある労宮(ろうきゅう)や郄門(げきもん)、足の湧泉(ゆうせん)や首の天容(てんよう)といったツボは自律神経失調症の治療に欠かせません。これらのツボにお灸を施すと、自律神経の緊張が和らぎます。
お灸は東洋医学に基づく代替医療です。ドラックストアや通販で簡単に購入できるので、セルフケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。
自律神経失調症の改善に役立つツボ
参考に、ツボのお勧め度を★の数であらわしています。
中脘(ちゅうかん) ★★★
「中」は中心、「脘(かん)」は胃袋のことを意味します。2つの意味を合わせると、中脘は胃の中心にある重要なツボということをあらわしています。
ここには、内臓機能を調節する自律神経叢(じりつしんけいそう)があるので、自律神経失調症の治療によく用います。お灸を施すと自律神経の乱れが和らぎ、内臓機能の回復にも役立ちます。
ツボの見つけ方は、からだの中心線上で、おへそから指幅4本分ほど上にあります。ちょうど、みぞおちとおへその真ん中あたりです。
天枢(てんすう) ★★
東洋医学では、おへそから上を「天」、おへそから下を「地」と呼びます。天枢はちょうどこの2つの気の交差するところにあります。「枢(すう)」はたいせつ・かなめという意味があります。つまり、天枢というツボ名は、天と地の気が交差する重要なツボ、ということを表しています。
自律神経の乱れを改善し、内臓機能の回復を手助けします。また、天枢は、毛細リンパ管が足先から太もも、腰と合流しながら集まってくる場所にあるので、体内の老廃物を排出する効果もあります。
ツボの見つけ方は、おへその両側から指幅2本分外側にあります。
労宮(ろうきゅう)★★★
自律神経(交感神経)の緊張を和らげ、イライラや緊張感を鎮める手助けをしてくれるツボです。心身のリラックスに役立ちます。
労宮は、手のひらにあります。見つけ方は、手を握ったときに、手のひらに触れる人差し指と中指との間にとります。
郄門(げきもん)★★★
「郄(げき)」は隙間、「門」は出入口を意味します。骨と筋肉の隙間に位置し、東洋医学で病気の原因が出入りするところを意味します。
郄門(げきもん)にお灸を施すと、自律神経の緊張が和らぎます。自律神経の高ぶりから起こる、動悸や息切れの治療に欠かないツボです。
ツボの位置は、手のひらを上にしたとき、腕の真ん中にあります。手首を曲げると中央に硬い“すじ”が出ます。そこから肘の中央まで延ばした線の真ん中が郄門です。見つけ方は、手首の曲がり目から指幅5本分くらい離れたところです。
湧泉(ゆうせん)★★
湧泉という名前は、「生まれながらにして持っているエネルギーが、泉のように湧き出るツボ」ということから名付けられています。ここから湧き出たエネルギーは、経絡を通り全身をめぐるとされています。
自律神経に働きかけ、体調を整えスタミナをつけるので、自律神経失調症による倦怠感などにおすすめです。
湧泉は足の裏にあり、指を曲げるとくぼむところに位置しています。見つけ方は、親指のとなりの第2指と第3指の間のくぼみの内側にあります。
天容(てんよう)★★
「天」は鎖骨よりも上の部分を指します。「容」は包み込む、入れるという意味を持ちます。したがって、天容は、首、頭などの病気をこの中に包み込んでしまうツボ、という意味になります。
自律神経とも関わりが深いツボで、精神的ストレスが原因の自律神経失調症には、天容(てんよう)のお灸がおすすめです。他にも、ツボ押しをすることで“こわばり”がとれて、自律神経の緊張が和らぎます。
ツボの位置は、下あごの角の後ろ、胸鎖乳突筋の前にあります。
最後に
2週間くらい経っても改善の兆しがみられない場合は、専門の鍼灸師による治療が必要かもしれません。
自律神経失調症はこじらせると厄介な病気です。このくらい大丈夫と我慢せず、近所の鍼灸院にご相談ください。
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自律神経失調症の鍼灸治療については、以下のページをご覧ください。
自律神経の乱れが気になるときは、お灸の他に、腹式呼吸も役立ちます。