ピックアップ障害に効果的な鍼灸治療

お腹を鍼で施術をする様子

不妊の原因の1つとされるピックアップ障害。もしかしたら、自分はピックアップ障害かもしれない、と不安に思っている方もいるのではないでしょうか。

ピックアップ障害とは

ピックアップ障害とは、卵管采のピックアップ機能がうまく作動しない状態を指します。卵胞から排卵した卵子は、卵管の先端にある卵管采から、卵管の中に入ります。そして、卵管内で待っている精子と無事に出会えると受精卵になります。でも、排卵した卵子は、自然に卵管采の中へ入っていくわけではありません。イソギンチャクの触手のような卵管采が、排卵する卵胞を事前に感知して、前もってその卵胞を覆い、排卵して飛び出した卵子を卵管内に吸い込みます。これを、卵管采のピックアップ機能と呼びます。卵管采が、どうやって排卵を前もって感知しているのかは謎です。もし、ピックアップ障害が起きていると、卵子と精子が出会えない、あるいは、非常に出会いにくい状況になります。

ピックアップ障害は、卵管采の形に異常(癒着など)が確認できれば、病院でわかりますが、そうでなければわかりません。また、卵子がちゃんと卵管内へピックアップされているかどうかを確認する方法は、残念ながらありません。このため、原因不明不妊(機能性不妊)の70%はピックアップ障害とされています。不妊の原因が不明で、タイミング法や人工授精を行っても結果が出ない場合、ピックアップ障害も原因の一つと考えられます。

ピックアップ障害に効果的な治療

ピックアップ障害には、卵管采に癒着などの異変がある器質性タイプと、見た目は正常でも何らかの原因でピックアップ機能がうまく作動しない機能性タイプがあります。鍼灸治療が特に効果的なのは、後者の機能性のピックアップ障害です。

一般には、機能性のピックアップ障害は「ピックアップ機能がうまく作動しない状態」とされていますが、はなもも鍼灸治療院では、もう一歩踏み込んでその病態を捉え治療を行っています。妊娠するには、女性ホルモンを十分に分泌させたり、質の良い卵子を作ったり、受精卵の着床しやすい子宮内膜を育てたり、排卵した卵子を卵管采がピックアップしたり、これらすべての機能が働いてはじめて妊娠できます。東洋医学では、これら1つ1つの機能を作動させる力のことを、妊娠力と呼んでいます。ピックアップ機能がうまく作動しないのも、妊娠力が低下してしまったためと考えられます。

妊娠力は本来、そう簡単に低下するものではありません。長い時間をかけてじわじわと低下してきます。その大きな原因が、冷えです。ただし、ここで言う冷えとは物理的に冷たいということだけではなく、もっと重要な意味を持っています。一言でいうと「精気の消耗」です。「精気」とは、その人の生まれ持ったエネルギー(生命力)というとわかりやすいでしょうか。人は少しずつ「精気」を使いながら暮らしていますが、時に、余計に精気を消耗することがあります。仕事や人間関係などのストレスがかかったときや、暴飲暴食をしたとき、夜更かしをしたときなどです。ストレスを抱え続けたり、不規則な生活や乱れた食生活を続けたりしていると、必要以上に精気を消耗することになります。この精気の消耗を冷えと呼んでいます。

そして、からだが冷えると(精気を消耗すると)、からだの機能はだんだんと低下してきます。
たとえば、病気からからだを守る「免疫力」という機能は、体温が1度下がると、30%も低下することが科学的にわかっています。これは、まさに、冷えがからだに及ぼす影響と言えます。ピックアップ機能がうまく作動しないのも、からだが冷え(精気を消耗し)、妊娠力が低下してしまったためと考えられます。

当院では、積聚治療(しゃくじゅちりょう)という治療方法を用いて「冷えを解消し、妊娠力を最大限に高めてピックアップ機能を作動させる」という鍼灸治療を行っています。鍼とお灸で全身のツボを優しく刺激して、からだの隅々に気血をめぐらせていきます。こうした治療により冷えがとれてくると、活力が生まれ、ピックアップ機能が徐々に高まってきます。

はなもも鍼灸治療院の治療は、妊娠する力を養うことに重点を置いているので、自然妊娠を目指す方はもちろん、人工授精や体外受精で妊娠を目指している方にもとても効果的です。ピックアップ障害の不安を抱えている方や不妊の原因がわからずお悩みの方は、ぜひ一度、ご相談ください。

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著者プロフィール 磯部律元

2013年「はなもも鍼灸治療院」を開設。東洋医学に精通し鍼灸師として数多くの施術を手掛ける。同時に、生理学、解剖学、病理学などを学び、人体のしくみについて造詣を深める。
妊活、妊婦の施術を得意とし、自律神経の乱れや慢性化した痛みなどにも幅広く対応している。のべ1万人以上の施術実績を持つ。
根本治療的な鍼灸とここちの良い施術を追求しつづけている。