うつ病の鍼灸治療とは
うつ病は、憂うつな気分や気持ちの落ち込みといった抑うつ症状や、焦燥感、意欲の低下といった心理的な症状にくわえて、不眠、動悸、倦怠感、めまい、食欲低下、肩こりなどの身体症状を伴うことも少なくありません。
鍼灸はこうした精神面と身体面の両方の症状を同時に施術することができる治療法です。
鍼とお灸でツボ(経穴)を適正な強さで刺激し、脳内神経伝達物質の分泌を促したり、自律神経のバランスを調整したりすることで、抑うつ症状の緩和、気分の安定化、睡眠の質の向上、身体症状の軽減をもたらします。
東洋医学と西洋医学の視点からうつ病にアプローチする治療を行っています。副作用がないので、薬物療法との併用も可能です。
うつ病の鍼灸治療の効能
鍼灸治療によって得られる効果は次の通りです。
- 脳内神経伝達物質の分泌を促進します
- 自律神経バランスを調整し、心身の症状を緩和します
- うつ病と関連している脳の前頭葉の血流を改善します
- ストレスを緩和してリラックス効果を高めます
- 睡眠の質を向上します
- 気分の安定化をもたらします
- 脳のエネルギー不足を補います
- 自然治癒力を高めます
鍼灸の効能により精神面と身体面の症状が緩和され、居心地のいいからだになります。
鍼灸治療を受ける時の注意事項
- 症状の程度によりますが、週に1回、2~3ヶ月以上の継続的な治療が効率的です。定期的な治療をおすすめします。
- 薬物療法を行っている場合は、鍼灸治療を併用することで相乗効果が期待できます。
- 自己判断での減薬は危険です。必ずかかりつけ医に相談してください。
- 鍼灸治療に加え、生活リズムの調整、食生活の改善、休養の確保など、生活習慣も見直すとより効果的です。
うつ病でお悩みの方や、お薬だけではままならないという方は、ぜひ一度、はなもも鍼灸治療院へご相談ください。
参考:脳内神経伝達物質の分泌促進
鍼灸のツボ刺激は神経系を介して中枢神経(脳・脊髄)に伝わり、セロトニン、ドーパミン、オキシトシン、β-エンドルフィンといった、さまざまな神経伝達物質の放出を促進します。
- セロトニンは、精神の安定、幸福感、リラックス効果といった重要な役割を担う神経伝達物質で、「幸せホルモン」と呼ばれています。セロトニンが不足すると、精神のバランスが崩れ、うつ病を発症する原因になります。
- ドーパミンは「快感ホルモン」と呼ばれ、快感、幸福感、やる気、意欲をもたらす脳内ホルモンです。
- オキシトシンは主に脳の視床下部から分泌され、別名「愛情ホルモン」と呼ばれています。妊娠・出産時に多く分泌されるホルモンとして知られていますが、家族や信頼できる仲間とのスキンシップのほか、温灸などの心地よい触覚刺激によっても分泌されます。愛着や信頼感を高めるだけでなく、不安や恐怖の緩和にも関わっているホルモンです。
- β-エンドルフィンは、脳内で分泌される神経伝達物質の1つで、「脳内麻薬」とも呼ばれています。痛みやストレスを軽減する鎮痛作用や、幸福感・高揚感をもたらす働きがあります。
脳内の神経伝達物質が正常に分泌されるようになると、精神面の症状が和らぎます。
参考:自律神経バランスの調整
精神的な落ち込みやストレスが長く続くと交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れ、不眠、倦怠感、めまい、食欲低下、肩こりなどの原因になります。
当院では積聚治療(しゃくじゅちりょう)という治療法を用いて副交感神経の働きを活発にし、交感神経とのバランスを整えることでうつ病の様々な身体症状を軽減します。
参考:脳内の血行改善
脳の前頭葉とよばれる部分の血流量が低下すると、「やる気がでない」「集中できない」といったうつ症状を引き起こすことがあります。積聚治療を行うと、脳内の血行も改善されるので、前頭葉の機能が活性化されるといった効果もあります。
参考:ストレスの緩和
ストレスはうつ病の要因の1つとご存知の方も多いと思います。鍼とお灸の心地よい刺激が心身の緊張を解きほぐし、精神的ストレスを軽減します。うつ病の悪化を食い止め、心身の回復を手助けします。
うつ病は再発率の高い病気です。一度、患ったことのある方は、おかしいなと思ったら早めの対応をおすすめします。
参考:睡眠の質の向上
うつ病では睡眠の質が著しく低下することがあり、これもまた、悪化させる原因になります。鍼灸のリラックス効果により、自然な眠りにつきやすくなり、質の良い睡眠につながります。
参考:気分の安定化
西洋医学的には、自律神経バランスを整えたり、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌を促進することが、気分の安定化をもたらします。
一方、東洋医学では、気の流れを整えることが心のバランスを保つと考えられています。積聚治療で「気の調整」を行い、穏やかな気持ちをもたらします。
参考:脳のエネルギー不足を補う
「脳のエネルギー不足」、つまり、積聚治療でいう「精気の虚」も鬱病の大きな原因の1つと捉えています。
「精気(せいき)」は生命エネルギーを指し、「虚(きょ)」は不足や低下といった意味があります。精気が欠乏したことによって脳のシステムにトラブルが生じ、その結果、憂うつな気分が続くという考え方です。
精気の虚(脳のエネルギー不足)を補う施術を行い、うつ病の根本にアプローチします。
参考:自然治癒力を高める
鍼灸は人のからだに備わっている自然治癒力を高める作用もあるので、うつ病の改善に役立つだけでなく、再発のリスクも低減できます。
















