生理痛や頭痛などの痛みの原因物質とされるプロスタグランジン。この物質は、自律神経とも深い関係があります。鎮痛剤を飲みすぎてプロスタグランジンの分泌を過度に抑制してしまうと、自律神経バランスが崩れることがあるので注意が必要です。
プロスタグランジンと自律神経の関係
自律神経には、副交感神経と交感神経という2種類の神経があります。副交感神経が優位になると血管が拡張して血流がよくなり、からだはリラックス状態になります。反対に、交感神経が優位になると血管は収縮して、からだは緊張状態になります。
一方、プロスタグランジンは、女性の場合、月経前から月経前半にかけて体内で分泌され、子宮筋の血管を広げて血行を良くし、子宮の収縮をスムーズにしてくれます。この時、プロスタグランジンが血管を広げてくれることで、自律神経は間接的に副交感神経優位な状態になれるわけです。
鎮痛剤を飲みすぎると自律神経が乱れる危険性
ただ、プロスタグランジンには発痛作用もあるため、たびたび生理痛の原因物質としてとりあげられます。でも、ストレスで交感神経よりに傾いたからだを、副交感神経よりに戻して、自律神経のバランスを整えてくれる役割もあります。
現代はストレス社会と言われるように、ただでさえ、交感神経が過剰に働く傾向があります。特に、女性を取り巻く環境は大きくかわり、ストレスで自律神経のバランスを崩す人も少なくありません。そんな中、鎮痛剤を多用していると、プロスタグランジンが必要以上に抑えられ、交感神経が過緊張状態に陥ることがあります。
たとえば、自律神経失調症の患者さんの中には、生理痛や頭痛が起こると仕事や家事が手につかなくなるので、予防的に鎮痛剤を飲んでいたという方がいます。「大事な会議があるから」「友人と遊びに行くから」といって鎮痛剤を多用していると、自律神経失調症につながる危険性を孕んでいます。
鎮痛剤は自己判断で飲むことは控え、病院を受診したうえで処方してもらいましょう。
もし、お薬の副作用が心配という場合は、鍼灸治療という治療法があります。鍼灸は、副作用の心配がなく、生理痛や頭痛などの痛みにも効果的です。