逆子の鍼灸治療

逆子のツボを棒灸で温めている画像

逆子とは

逆子とは、ママのお腹の中で赤ちゃんが頭を下に向けていない状態のことで、骨盤位とも呼ばれています。妊娠後期になり赤ちゃんが大きくなってくると、頭が重くなるので、頭が下向き(頭位)になるのが一般的です。

一口に逆子といっても、お尻を子宮口に向けている、膝を子宮口に向けている、足を延ばしている、右を向いている、左を向いている、横向きになっているなど色々なパターンがあります。

妊婦健診で「逆子です」と言われると、「赤ちゃんは大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、逆子は病気でも何でもないので過度に心配する必要はありません。ただ、難産になるリスクが高いため、37~38週になっても逆子だと、多くの場合、帝王切開になります。

逆子の割合は?

逆子は決して珍しくはなく、データによると妊娠28週は24.2%、妊娠32週11.6%、妊娠34週は7.6%が逆子です。

ただ、自然に下を向くことも多く、自然回転率は、妊娠28週で82.2%、妊娠32週58.6%、妊娠34週37.3%です。妊娠36週でも10.2%が正常位になり、逆子のまま分娩を迎える妊婦さんの割合は5.4%です(データ出典論文:妊娠28週以降の骨盤位の頻度と自然回転率)。

逆子になる原因は?

逆子が起きる原因ははっきりとはわかっていません。
一般には、子宮の形や骨盤の広さ、胎盤の位置、羊水の量などが関係していると考えられています。

東洋医学では、冷えの影響も大きいとされています。実際に逆子の施術を行っていると、下半身が冷えていたり、お尻が冷たかったりする妊婦さんが目立ちます。妊娠前、冷え性だったという人もいます。

逆子の鍼灸治療

通常は、32週から34週頃までに自然に頭位になることが多いとされていますが、妊娠週数が進むと回転率は減少するので、逆子とわかったらなるべく早く対処する方がいいでしょう。
逆子体操を指導してくれる産科もありますが、逆子は病気ではないため積極的な治療は行わず、健診日に赤ちゃんの向きを確認して終わりというところがほとんどです。すぐに頭を下に向けてくれれば安心できますが、妊婦健診のたびに逆子と言われると、不安が募る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

はなもも鍼灸治療院では、鍼灸師国家資格を持つ専門家が逆子治療を行っています。「逆子を早く治したい」「帝王切開は避けたい」「逆子体操をやったけど回らない」という妊婦さんが来院されています。

逆子のパターンは一人ひとり違うので、まず、お腹の触診や問診で胎児の体勢をしっかりと確認した上で、赤ちゃんが回転しやすくなるように施術を進めていきます。
至陰(しいん)」や「三陰交(さんいんこう)」といった逆子のツボにお灸を施すことで子宮の血流を促進したり、積聚治療(しゃくじゅちりょう)という施術法を用いて母体の冷えを取ったりすることで、赤ちゃんが動きやすい環境を作ります。こうした施術により子宮筋の緊張が和らぎ、赤ちゃんは本来の正しい体位へ動きやすくなります。

鍼灸治療は外部から力を加えて無理に回すのではなく、赤ちゃんが自ら回転して頭位になる自然な治療法です。

お腹の赤ちゃんにも、お母さんの体にも、優しい施術を行っていますので、初めての方も安心してお越しください。よろしければマタニティ鍼灸の安全性をご覧ください。もし、鍼灸治療に対する不安や疑問などがございましたら、気軽にお問い合わせください。

治療開始時期と頻度

逆子は、できるだけ早期に、28週~34週に治療を開始することが理想です。この時期は赤ちゃんがまだ子宮内で動き回れるスペースがあるので、早ければ早いほど回転率は高まります。
週に1〜3回程度の施術に加え、自宅でセルフケアも行うとより効果的です。

一般には、35週を過ぎると赤ちゃんが大きくなり回転しにくくなるとされていますが、動けるスペースがあれば、37週くらいまでは正常位に回復する可能性があります。当院の症例では、帝王切開の前日に頭位になった人がいます。
逆子の改善例も「妊婦さんの喜びの声」をご覧ください。

自然な経腟分娩での出産を希望する方や、帝王切開の日が迫っている方は、ぜひ一度、ご相談ください。

参考1:逆子の矯正に効果的なツボ

ここでは、逆子矯正に効果的なツボを紹介いたします。

三陰交(さんいんこう)

三陰交は子宮の血流改善に優れたツボで、逆子矯正の成功率を高めてくれます。安産のツボとも呼ばれています。
逆子だけでなく、婦人科系の症状に効果的です。不妊症、生理不順、生理痛、更年期障害などにも使います。

三陰交の位置は、足の内くるぶしから指幅4本分上がった骨際にあります。骨に向かって指で押し、痛かったり気持ち良かったりする場所に取ります。

三陰交の位置を示した画像

至陰(しいん)

古来より逆子のお灸に最もよく利用されてきたツボの一つです。お灸の刺激が経絡(けいらく)を経て子宮に伝わり、赤ちゃんの自然な回転を促すと考えられています。

「至」は、「いたる」や「とどく」などの意味です。「陰」はここでは「小陰(小指)」を指しています。よって至陰とは足の小指に至るツボという意味です。場所は、足の小指の外側、爪のつけ根にあります。
 
至陰のツボの位置を示した図

参考2:セルフケアのやり方

ご自宅でセルフケアを行う場合は、三陰交のお灸がおすすめです。逆子だけではなく安産にもいいツボで、お灸の据えやすい場所にあります。

家庭用のお灸はドラッグストアなどで購入できます。もぐさの部分に火をつけてツボに張りつけるだけの手軽なお灸です。熱さの強弱によって何種類かありますが、初めての方は一番弱いタイプからはじめるといいでしょう。

1.まず、灰皿など水を張った容器を準備します。
2.左右の三陰交にそれぞれ1個、お灸を施します。同時に火をつけるのではなく、少し時間をずらした方が取る時に余裕が生まれます。
3.熱さを感じたら取り除き、最初に準備した容器に捨てます。火種が残らないように十分に水につけます。

注意事項

・食事とお風呂の前後30分は避けてください。
・鍼灸院で施術を受けた日は必要ありません。
・毎日やり続けるのではなく、必ずお休みの日も設けてください。
・お母さんの体調によっては刺激を控えた方がよいツボもあります。ご自宅でお灸を行う際には必ず鍼灸師にご相談ください。

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著者プロフィール 磯部律元

2013年「はなもも鍼灸治療院」を開設。東洋医学に精通し鍼灸師として数多くの施術を手掛ける。同時に、生理学、解剖学、病理学などを学び、人体のしくみについて造詣を深める。
妊活、妊婦の施術を得意とし、自律神経の乱れや慢性化した痛みなどにも幅広く対応している。のべ1万人以上の施術実績を持つ。
根本治療的な鍼灸とここちの良い施術を追求しつづけている。